ITコンサルタントの呟き

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経営者が知るべき企業システムの種類 

企業システムの種類は二種類ある。

「攻めのIT」「守りのIT」だ。

 

ガートナー社が提唱しているバイモーダルITの概念であり、グローバルのITベンダーの多くが製品戦略の軸として捉えている概念でもあり、経済産業省「攻めのIT活用指針」と言った指針を出す基になっている概念である。

 

1 守りのIT

多くの人が企業システムとしてイメージする仕組みは「守りのIT」側の仕組みである。

財務システムや営業システム、在庫システムなどの必要な情報を記録するための仕組みが基幹業務システムがまさに企業としての必要な守りのITの際たるものである。

特徴は安定が必要な仕組みである。

 

2 攻めのIT

「攻めのIT」側の仕組みとは、例えばECサイトでお客様の購買パターンから推奨品を自動で提案する仕組みであったり、顧客の潜在欲求に沿ったダイレクトメールを送ったりと単純に『記録』する仕組みではなく、他社との差別化をはかったり、顧客満足をあげるための仕組みだ。特徴は変化に対応するためにもスピードが求められる仕組みである。

 

「攻めのIT」と「守りのIT」以外にも「SoR(System of Record)とSoE(System of Engagement)」や、「モード1とモード2」などと呼ばれることもある。

 

この概念が導入されるまでは、攻めも守りも渾然一体とした仕組みが作られていた。

現在では多くのITベンダが、攻めか、守りかの位置付けに応じて、推奨する構築、導入アプローチを変えてきている。攻めのITと守りのITで、要求されるシステムを変更すべきスピードや、作り方、構築アプローチを変える必要があるからだ。

 

構築する仕組みが、「攻め」なのか「守り」なのか、はたまた混在なのかで、システム構築の管理ポインが変わってくるのだ。

 

きちんと管理できないと、攻めの仕組みのつもりで作っても、ちょっとした変更に数ヶ月を要して、結局使えない残念な仕組みになってしまいかねないのだ。

 

両利き経営を目指すのであれば、必須の概念だ。

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経営者が知るべき企業システム構築 "場所" の選択肢 

企業システムを構築する場所の選択肢は二つある。

 オンプレミスクラウドかだ。

 

自分で準備した場所(オンプレミス)に構築するのか?誰かが用意した場所(クラウド)に構築するのか?

 

企業にとって重要な顧客の情報や、給与や人事情報、財務情報、そんな大事なものを人任せにして大丈夫なのか?

 

同じような疑念が、明治初期にもあった。大事なお金を他人(銀行)に預けて大丈夫なのだろうか?タンス預金なのか、銀行に預けるのか。

 

1 クラウドの特徴

  短期間で準備ができて、専門家集団が管理してくれるが、自前(オンプレミス)よりも自社で管理できる範囲が狭まるので、システム管理としての自由度が低くなる。

 

2 オンプレミスの特徴

  機器の調達や場所の確保等を自分たちで実施し、自由にシステム管理が行える。自由度が高い分、工数がかかり、セキュリティーリスクも自分達で対応する必要がある。

 

 

数十年前は自社で環境を準備するしかなかった。場所を用意して、ハードを買って、ネットワークを整備して、それができる人を育て、時間をかけてノウハウを構築する。今は、そんなことは必要ないのだ。クラウドならジャンプスタートができる。

 

もし、セキュリティに不安が残るならばクラウド環境のデータセンタを見学に行けば良いと思う。マンションの内覧会のように、設備の裏側まで見せてくれる。

 

今や人よりもデータの方が高いセキュリティで守られている事が体感できるはずだ。

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経営者が知るべき企業システム構築 "方法" の選択肢

企業システム構築というと、プログラミングを第一の選択肢にあげる人が多い。

出来合いのソフトが山のようにあるのに、この時代に手作り。

抗生物質が発明された現在に、いまだに草を煎じて飲もうとする古い考えはやめよう。


 1、使えるものがあるか?

パッケージソフトや、クラウドサービスなどの出来合いのソフトウェアを使う。

(例えば文字を記録したいのに、わざわざ自社でWordを再発明するかと言われたら、答えはNo。作らず使う。これ常識。)

 

2、ノンコードツールで作れるか?

ノンコードツールでシステムが構築できるのであれば利用する。

(例えばBlogを書くのに、HatenaBlogとうのサービスを使えば、HTMLやCSSなどの知識がなくても簡単に作成できる。使えるものは使って作る。これ常識。)

 

3、手作り

自前で作る。開発するにも保守するにも一番大変な作業。ノウハウが俗人化するからすぐにブラックボックス化。

 

数十年前は出来合いのシステムは業務への適合率が低く、ノンコードツールが存在しなかったので、まずは手作り開発を検討して期間や費用が長いと、初めて出来合いのソフトを検討してみると言う企業がほとんどだった。

 

今は、まず使えるモノがあるかを検討して、使えるものがない場合、出来合いのソフトとノーコードツールの合わせ技を検討するのが当たり前だが、古い体質のIT部門やSIerでは、いまだに手作りから検討をスタートしている。

 

抗生物質が発明された現在に、いまだに草を煎じて飲もうとする古い体質が存在するのは非常に残念。

 

人類が発明した叡知であるソフトウェアを利用し使い回すべきなのだ。

 

すでに人類として発明されたモノの劣化版の再発明を各企業で行っている現状は、労働生産性を著しく害する無駄な努力。やめるべし。

 

使えるものは使おう!